大人も子どもも、学生も。将来の自分と家族のために「プレコンプションケア」を学ぼう

2019.07.29

「プレコンセプションケア」ということばをご存じでしょうか?

プレ=「前」、コンセプション=「受胎する」という意味で、「妊娠する前の段階から自身の健康をケアすること」を「プレコンセプションケア」といいます。

とはいっても、「妊活」とは異なる点に要注意。「妊活」は一般的に、早期の妊娠を目指して生活改善や不妊治療などを行うこと。一方「プレコンセプションケア」はもっと広い範囲をカバーしています。

妊娠に向けた健康づくりの一環として世界保健機関(WHO)等が推奨しており、近年、日本にも「プレコンセプションケア」が広がり始めています。

女性の体についての知識を得るためのプレコンセプションケア

大人も子どもも、学生も。将来の自分と家族のために「プレコンプション」を学ぼう

大人になって「絶対に子どもが欲しい」と考える前に、10代から将来の妊娠に備えて健康を維持し、妊娠や出産について正しい知識を身につけること。そして自分の健康意識を高めることが、プレコンセプションケアです。

その背景にあるのは、少子化問題だけではありません。最近では、女子高生が「ピル」の正しい知識啓蒙を訴えるニュースが話題となったように、日本の教育現場で性教育が十分に正しく行われていない問題もはらんでいます。

2018年12月1日に開催された「平成30年度家族計画・母体保護法指導者講習会」では、「女性に寄り添う産婦人科医療のあり方について」をテーマにしたシンポジウムを実施。そこでも、プレコンセプションケアの重要性が取り上げられました。

 平原史樹国立病院機構横浜医療センター院長は、女性の心身の状態を妊娠前から妊娠初期にかけて健康管理・ケアするプレコンセプションケアの重要性を強調。また、日本では先天異常や中絶などの諸課題等が、学校で教えられていない状況を問題視し、これらについても産婦人科医が関わりをもつべきとした。

 甲村弘子こうむら女性クリニック院長は、周産期の健康だけでなく、その子どもの将来にも影響を及ぼす因子として、①やせていること②子宮内膜症―を例に挙げて説明。①については、特に神経性やせ症について触れ、その予防のためには妊娠前の教育、心理面・栄養面のサポートが必要になるとした。

 また、②に関しては、適切な治療が遅れると大きな問題を引き起こすとして、「若年でも子宮内膜症を発症する可能性があることを念頭に、診療に当たって欲しい」と述べた。

女性に寄り添うプレコンセプションケアの重要性を確認(日医on-line)

日本初のプレコンセプションケアセンターでは、専門家が心と体の状態を診察

大人も子どもも、学生も。将来の自分と家族のために「プレコンプション」を学ぼう

平成27年には日本初の「プレコンセプションケアセンター」が、国立成育医療研究センターに開設されました。

このプレコンセプションセンターは「チェックプラン」と「相談外来」で構成されており、「チェックプラン」では、肥満度や血圧、月経周期、ワクチンの接種状況、心の状態など、あらゆる視点から健康状態を確認。それをもとに、医師や管理栄養士によるカウンセリングを行います。

一方「相談外来」では、持病や病歴のある人、月経痛に悩む人などが将来の妊娠に関する相談に、専門の医師が対応。自由診療のため費用は全額自己負担となりますが、受診した人からは高い評価を得ています。

また、各地の病院でも「プレコンセプションケア外来」や、妊娠前の検査として「プレコンコース」が設立されています。妊娠に気づく頃にはすでに赤ちゃんの臓器はできあがっていることが多く、いずれの病院でも「妊娠前」からの体づくりが重要だとして、食生活などを指導・改善していくことが目的。また、女性特有の乳がん及び子宮がん検診のほか、感染症や風疹・麻疹(はしか)など、幅広く抗体検査も実施している病院もあります。

女性だけでなく、男性もプレコンの知識を

大人も子どもも、学生も。将来の自分と家族のために「プレコンプション」を学ぼう

『平成30年版 少子化社会対策白書』によると、ここ数年の初産平均年齢は30歳前後となっており、晩産化がいっそう進行していると指摘されています。

例えば、漠然と「○歳までには子どもを産みたい」と考えても、いざというときに自分の健康問題や周囲の理解の差にぶつかり、妊活に悩む人も少なくないでしょう。

そこで「○歳までに出産できるように、体調を整えよう」と考え、早いうちから自身の体の状態を知り、向き合うことが、将来生まれてくる赤ちゃんの健康にもつながっていくのです。

コンセプションケアは妊活を考える女性だけでなく、パートナーとなる男性もしっかり知っておきたい知識です。家族になるためには、男性は女性を、女性は男性を、互いによく知らなくてはいけません。妊娠する・しないに関わらず、ライフプランの選択肢について考える手段として、まずは自分の健康状態をきちんと把握することから始めましょう。

【参考文献】
プレコンセプションケアセンター」(国立研究開発法人 国立成育医療研究センター)
『平成30年版 少子化社会対策白書』(内閣府)

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