日本人は“睡眠時間が短いのに健康”!? こだわるべきは時間ではなく…

2019.06.28

睡眠不足がまるで借金のように蓄積されてしまう「睡眠負債」というキーワードが、昨年話題を呼びました。「思い当たる!」と感じた方も多いのではないでしょうか?

厚生労働省の「国民栄養・健康調査」によれば、以前よりも日本人の睡眠時間が少なくなっているという調査データもあり、睡眠不足から来る体の不調などの悩みは、多くの日本人が抱えているといわれています。

日本人の睡眠時間の短さを指摘する際に、よく取り上げられる睡眠時間についてのデータが経済協力開発機構(OECD)による睡眠時間の国際比較調査です。2018年に発表された調査結果によれば、15歳〜64歳の日本人の睡眠時間は7時間22分で、調査対象となった28の加盟国の中で最下位。28か国の平均値8時間25分と比べると、約1時間短くなっています。

この傾向は恒常的で、前回の調査(2014年)でも韓国に次いで2番目に睡眠時間が短いという結果が出ています。しかし、それと同時に意外な事実も指摘されているのです。

睡眠時間は他国と比べて短いのに…
平均寿命の長さはトップ!

日本人は“睡眠時間が短いのに健康”!? こだわるべきは時間ではなく…

同じOECDが、日本に関する2009年の調査結果をまとめたドキュメントによれば、睡眠時間は短く、自己申告による健康状態も下位だが、平均寿命の長さは加盟各国の中で1位、犯罪率も乳児死亡率も低く、体格は健全で肥満率も低いと指摘されています。

「日本人は睡眠時間が短くても健康でいられる」ということなのか。それとも、「睡眠時間と健康とはあまり関係がない」のでしょうか?

その疑問へのヒントが、厚生労働省の「e-ヘルスネット」の「不眠症」の項目にありました。不眠症の診断基準について次のように解説されています。

日本人は“睡眠時間が短いのに健康”!? こだわるべきは時間ではなく…

「1.長期間にわたり夜間の不眠が続き」「2. 日中に精神や身体の不調を自覚して生活の質が低下する」、このふたつが認められたとき不眠症と診断されます。

(中略)

不眠症は不眠そのものだけではなく「日中に不調が出現する」ことが問題なのです。眠りが浅く感じられても昼間の生活に支障がなければ不眠症とは診断されません。

「不眠症」(厚生労働省「e-ヘルスネット」)

つまり、睡眠時間が短くても必ずしも「不眠症」とは診断されないというのです。また、高齢者になると早起きになることからも分かるように、年齢によって必要な睡眠時間も変化します。さらに、地域やお国柄によって、日照時間や気候も異なりますし、生活スタイルも変わります。同じ「不眠症」の項目には次のようにも書かれています。

睡眠時間が短いことや目覚め回数にこだわりすぎないことが大事です。

「不眠症」(厚生労働省「e-ヘルスネット」)

眠りの質を高める工夫を取り入れよう

とはいえ、なかなか十分な睡眠時間が確保できず、睡眠不足に悩んでいる人が多いのも事実です。それではどのような対策が必要なのでしょうか? その1つとしてあげられるのが「睡眠の質を高める」ことです。そのポイントを以下にて簡単に紹介します。

寝具を見直す

日本人は“睡眠時間が短いのに健康”!? こだわるべきは時間ではなく…

快眠のために重要なのは、睡眠中の体を包む布団や、頭や首を置く枕といった寝具がもたらす環境です。寝具には、「温度」と「よい寝相(体の負担が少ない姿勢)」を保つという2つの役割があります。掛け布団は保温性と吸放湿性のよいものを、敷き布団やマットは適度に硬いものを、枕はベッドや布団と首との隙間を埋めるものを選ぶといいでしょう。特に適した枕は個人によってかなり差がありますので、枕専門店などで実際に寝心地を試したり、自身の体に合うようカスタマイズするといいでしょう。

眠りのメカニズムを知る

日本人は“睡眠時間が短いのに健康”!? こだわるべきは時間ではなく…

人間の睡眠を形づくる要因として、大きく2つのメカニズムがあることが知られています。眠気のもととなる「睡眠欲求」と、体内時計から発信される「覚醒力」です。覚醒中の疲労蓄積によって睡眠欲求は高まり、睡眠に入ると減少します。十分な睡眠時間をとると睡眠欲求は消えて覚醒します。覚醒力は、普段の就寝時刻の数時間前に増大します。

眠気が生じない原因の1つとして「疲労がたまっていない」、覚醒できない原因の1つとして「起床時間がまちまち」ということも考えられますので、適度な運動をして疲労を生み、就寝時間がずれても起きる時間はずらさないようにする工夫を取り入れるといいでしょう。

睡眠と運動、そして光浴の習慣化

日本人は“睡眠時間が短いのに健康”!? こだわるべきは時間ではなく…

「e-ヘルスネット」の「快眠と生活習慣」では、「運動習慣がある人には不眠が少ないことがわかっています。とくに睡眠の維持に習慣的な運動の効果があるようです」と解説されています。また、入浴の時間は就寝の2〜3時間前。体内時計のズレを修正するためは、起床直後に自然の光を部屋の中へ取りこむ習慣が効果的だと指摘されています。

もちろん、睡眠の質を高めれば時間が短くてもいい、ということではありません。就寝時間を早める工夫を念頭におきつつ、上記のような方法のほか、昼寝を取り入れたり、光で起こす目覚まし時計を使ったり、食生活を改善したりと、自分に合った方法を探して、すっきり目覚める生活を目指しましょう。

【参考文献】
Average minutes spent in different activities (both weekdays and weekends), age 15-64(Excel File)(Gender data portal – OECD.org)
OECD図表でみる社会2009 – OECD社会指標 日本に関する調査結果(OECD)
「不眠症」「快眠のためのテクニック -よく眠るために必要な寝具の条件と寝相・寝返りとの関係」「眠りのメカニズム」「快眠と生活習慣」(厚生労働省 e-ヘルスネット)




pagetop