いくつ知ってる?赤ちゃんの食にまつわる「5つのトリビア」

2019.05.28

初めてのお子さんを迎えたママが、特に心配するのが「離乳食」の時期。成長に合わせた食品選びやサイズ調整といった“作業“だけでなく、子どもには食べさせてはいけない食品・食材に関する“勉強“も同時並行。今年は厚生労働省の「授乳・離乳の支援ガイド」が改定され、乳児が卵を食べ始める時期が見直されたりと、知識や情報もアップデートしなければなりません。

赤ちゃんの体は大人よりもずっと未熟で、一見栄養満点で、赤ちゃんにも与えたくなる食材でも、抵抗力のない体には刺激が強く中毒を引き起こしてしまうものもあります。

今回は、初めての離乳食で扱いに気をつけたい食材をはじめ、そして赤ちゃんの成長と食事に関する豆知識をご紹介します。

トリビア①「ハチミツは1歳を過ぎてから」はなぜ?

いくつ知ってる?赤ちゃんの食にまつわる「5つのトリビア」

甘くて栄養もたっぷり、果物やお料理との相性も抜群なハチミツには「ボツリヌス菌」という細菌が混入していることがあります。2017年に、このハチミツのボツリヌス菌が原因となった「乳児ボツリヌス症」で生後6ヵ月の赤ちゃんが亡くなったニュースは、大変注目を集めました。その理由は1990年以降にハチミツが原因とされた症例発生がなかったからです。

ボツリヌス菌は酸素のないところで育つ嫌気性菌で、体の脱力や呼吸麻痺が起こる毒性の強い菌。乳児は抵抗力が弱いうえに、小腸内の酸素濃度が低いため、この被害を受けやすくなっているのです。厚生労働省でも「ハチミツを与えるのは1歳を過ぎてから」と呼びかけています。

1歳を過ぎれば、善玉菌などの多様な腸内細菌によって形成される腸内細菌叢(腸内フローラ)が完成し、ボツリヌス菌の繁殖を抑えるため、ハチミツを与えても問題ありません。

1歳になるまでは、酸味のある食べ物を食べさせるために甘みとしてハチミツを使ったり、調理にハチミツを使うことは絶対に避けましょう。注意したいのはハチミツ入りの食品は真空パックに入っていても、加熱してあっても使ってはいけない点です。ボツリヌス菌は、酸素のないところで繁殖するうえに、芽胞は熱に強く100℃で長時間調理しても死滅しないのです。

トリビア②「牛乳は1歳過ぎてから」はなぜ?

給食には欠かせない、栄養食品の代表のような牛乳も、赤ちゃんに与える際には注意が必要です。

牛乳は、母乳や育児用ミルクと比べて、鉄の吸収率が悪いという特徴があります。そのため生後12ヵ月以前におっぱいの代わりに与え続けてしまうと、少量の消化管出血(潜血)が起こります。すると鉄欠乏性貧血になりやすく、この状態が3ヵ月以上続くと、精神的・運動発達ともに遅れるといわれています。

また牛乳はたんぱく質、ミネラルの量が多く、乳児の腎臓に負担を与えてしまいます。さらに、たんぱく質の摂取過剰により将来糖尿病の発症リスクを高める恐れも。

ちなみにフォローアップミルクは、鉄分補給の面では優れていますが、母乳や育児用ミルクに比べたんぱく質量が多いため、未熟な乳児の腎臓に負担がかかります。

育児用ミルクに添加されている微量元素が、十分に配合されていない観点から生後9ヵ月以降に与えるのが望ましいでしょう。生後9〜11ヵ月以降になり、幼児食でたんぱく質、カルシウム、鉄などの必要な栄養素が摂取できていれば、フォローアップミルクではなく、0歳から飲めるミルクを使っていても問題ありません。

トリビア③「卵は卵黄から、魚は白身魚から」はなぜ?

いくつ知ってる?赤ちゃんの食にまつわる「5つのトリビア」

どんなに新鮮でも生卵やお刺身は、赤ちゃんには絶対に食べさせてはいけません。内臓の発達が未熟な乳幼児期は、一部の野菜や果物を除いて加熱調理が原則です。

その上で、卵黄に含まれるたんぱく質、脂質は消化、吸収されやすく加熱後の凝固もなめらかで、離乳食におすすめです。

一方、卵白はアレルギー反応を起こす可能性の高い「オボアルプミン」や「オボムコイド」を含んでいるため要注意。少しずつ食べさせはじめて、アレルギーの心配がないようであれば生後5〜6ヵ月ごろ、固ゆでの卵黄が食べられるようになってから全卵のゆで卵を与えてみましょう。半熟卵を与えるのは、離乳食を卒業したあとです。

いくつ知ってる?赤ちゃんの食にまつわる「5つのトリビア」

魚はアレルギーの心配のほか、細菌による食中毒や寄生虫の恐れもあります。必ず中までしっかり火を通してから与えましょう。一般的に白身魚、赤身魚、青背魚の順に含まれる脂肪分が多くなります。こちらも卵と同じように、消化しやすく吸収に負担の少ない白身魚からスタートしましょう。

トリビア④「幼児の好き嫌いと、親の好き嫌いは関係する」と言われるのはなぜ?

いくつ知ってる?赤ちゃんの食にまつわる「5つのトリビア」

幼児期の好き嫌いにはさまざまな原因がありますが、そのうちのひとつに「食経験の不足」が挙げられます。

都内幼稚園の園児とその養育者を対象にした「子どもの経験食品と嗜好、また、母親との嗜好との関係の調査(2000年6月、産経新聞)」によると、「嫌い」と回答した食品の多い子どもは、明らかに経験した食品が少ない傾向が見られました。

例えば「見たことがない」「食べたことがない」と回答した料理や食品として、「卯の花和え」「カリフラワー」「高野豆腐の煮物」などが上位を占めました。これら上位の食品は母親が苦手、または食卓に出さないと回答した食品とほぼ一致していたそうです。確かに、これらの献立を日常的に出す家庭は少ないかもしれません。

食べ慣れていない食品は「嫌い」に発展しやすく、食べず嫌いになりかねません。その対処方法として、保育園・幼稚園でおこなわれる「野菜栽培」や「調理保育」は非常に有効です。「食べる・食べない」ことばかりに目を向けるのではなく、食品自体への興味を持たせることが、好き嫌いをなくす第一歩になります。

なかには養育者の食への関心の低さを指摘する声もありますが、好き嫌いのケアまで手が回らず、「どのように対処すればよいのか分からない」と悩む方も多いはず。保育士と相談しながら、少しずつ食への興味を深めたり、栄養バランスのよい食事を意識することから始めてみましょう。

トリビア⑤「大人と同じ食事が摂れるのは何歳ごろ?」

いくつ知ってる?赤ちゃんの食にまつわる「5つのトリビア」

まだ体ができ上がっていない赤ちゃんは、内臓も非常に未熟な状態です。

例えば、赤ちゃんの胃は筒形をしており、胃の中のものを吐きやすい構造。口から入った食べ物を胃から腸へ送る「ぜん動」は1歳頃まで大人の半分以下の力です。食べ物を消化するのに必要な「消化酵素」の分泌も不十分。免疫機能も未熟で抵抗力が弱く、少しの細菌でも食中毒を起こす恐れがあります。

さらに、赤ちゃんには「かむ力」もありません。前歯でかみ切り、奥歯でかみくだき、だ液とまぜて、口の奥から食道へ送る「食べる」動作も、赤ちゃんにとっては複雑な動きですので、練習が必要です。乳臼歯の上下が生えそろい本格的な「咀嚼」ができるようになるのは、2歳半〜3歳以降です。

胃腸や咀嚼だけでなく、腎臓や肝臓の機能も含めると「大人と同じ食事」を摂れるようになるのは、なんと8歳ごろ! 離乳食を卒業すると、お母さんとしては「もう大丈夫かな」と思ってしまいがちですが、小学2年生ごろまで、子どもの食事には注意が必要なのです。

体の機能は成長とともに自然と発達しますが、離乳食や幼児食のルールは、未発達な体を守るために必要なものなのです。

さらに詳しい「離乳食をはじめとした乳児の食事と成長との関係」および「離乳食との上手な付き合い方」については、こちらの記事も合わせてご覧ください。

上田玲子先生に聞く!子どもの食生活の専門家が教える離乳食の基礎知識(前篇)

上田玲子先生に聞く!子どもの食生活の専門家が教える離乳食の基礎知識(後篇)

【参考文献】
上田玲子 編著『子どもの食生活』(ななみ書房)
上田玲子 監修『はじめてママ&パパの離乳食』(主婦の友社)
「ボツリヌス症とは」(国立感染症研究所)
「ボツリヌス菌について (ファクトシート)」(厚生労働省検疫所 FORTH)
ハチミツを与えるのは1歳を過ぎてから。」(厚生労働省)
『授乳・離乳の支援ガイド』(厚生労働省 2019年3月)

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