おおらかなのに繊細!?
現地在住のママに聞く
「アメリカ子育て事情」

2019.06.07

子育て期間中のお母さんは育児の忙しさに加えて、ホルモンバランスの変化や、生活環境の変化などから精神的に不安定になるケースが多いといわれます。

性格にお国柄が現れるように、子育てにもお国柄があります。国や地域が違えば、子育ての常識や意識、環境やアイテムも違います。日本の子育てでは一般的・常識だと思われていることでも、他の国ではそんなに気にされていないことも…。

今回、coco-banaでは、日本のママたちに“肩の力を抜いてもらえる”きっかけになればという思いから、アメリカ・ボストン在住で、現在1歳の男の子を子育て中のHarukaさんに、現地の“子育て事情”を伺いました。

おおらかなのに繊細!?現地在住のママに聞く「アメリカ子育て事情」

赤ちゃんへはもちろん、子育てをするママやパパに対しても“おおらか”で、それでいて“繊細”な心配りが根付く、アメリカでの子育てのリアルを知っていただき、「いろんなスタイルの子育てがあってもいいんだ!」と視野を広げてもらえたらと思います。

多彩な育児環境
気軽に頼めるサポートから
プロフェッショナルまで

おおらかなのに繊細!?現地在住のママに聞く「アメリカ子育て事情」

アメリカでは自宅で育児をサポートする職業がいろいろあります。自宅の同じ部屋で、ちょっと横にいてもらって簡単な面倒を見てもらう「マザーズヘルプ(Mother’s Help)」、両親の仕事中に自宅で子どものお守りをする「ベビーシッター(Baby-Sitter)」、お守りだけではなく家事全般、例えば食事を作ったり掃除もしたりするのが「ナニー(Nanny)」。人によっては雪かきなども引き受けてくれることも!

そのような日常的なサポートに加えて、産前・産後のあらゆることに対応してくれる「ドゥーラ(doula)」という専門職もあります。出産の立ち会いをお願いすると出産予定日は24時間態勢で付いてもらえたり、産後のケアでも、母乳やミルクのあげ方や飲ませる量を赤ちゃんの成長に合わせて教えてくれたりします。さらには、食事の作りおき、掃除・洗濯なども手伝ってくれます。まさに、家事も育児も心配事も丸ごと相談できるプロフェッショナルなんです。

依頼費用もそれぞれに違っていて、マザーズヘルプだと高校生がお小遣い稼ぎにできる程度の内容で、1時間あたりで10〜15ドルくらい。シッターになると20ドルくらい、ナニーだと25ドルくらい、ドゥーラだと30〜40ドルくらい。マッチングアプリもすごく盛んで、近くにいる人で依頼したい内容に対応できる人を、急に探して単発でお願いするのも一般的です。

預けることに対する心理的なハードルは日本よりも低いのかもしれないですね。他人に預けるのに抵抗を感じる人もいますが、事前に何人もと面談を子どもや家族との相性を見て、慎重に決めているようです。アメリカでは、男性も女性も育休取得は一般的ですが、長さは数週間。日本のように長期間ではありません。保育園に入るのも、日本以上に厳しいため致し方ないという面もあって、活発になっているのがアメリカの事情だと思います。

また文化的にも、シッターなどに子育てを頼むことが昔から浸透していて、何世代も繰り返されています。子育てに限らず、生活する上で他人の手を借りたり手を貸すことに、フランクですね。

日本でも、保育園に入りたいのに入れないとか、産後に働きたいという人が増えていますし、必然的に育児サポートを仕事にする人がますます求められますから、今後は社会的ニーズの高まりととも、日本人の意識も変わっていくのではないでしょうか。

子どもだけでの留守番や移動はNG!

おおらかなのに繊細!?現地在住のママに聞く「アメリカ子育て事情」

日本なら、小学校の中学年になれば自宅の鍵を持たせて独りで家に帰って、留守番をする子どもも少なくないですが、アメリカでは子ども独りでの留守番が一般的ではありません。通学は大人が送迎しますし、部活やお稽古事に行くときも、独りで歩いていく小学生はいません。基本的に両親やシッターといった大人が付いていきます。

そのため、子どもだけで遊んでる姿を目にすることは、アメリカではめずらしいです。たまに日本へ帰ってきて、公園へ遊びに行くと当然のように子どもだけなので、一瞬、不思議な感覚になります。

赤ちゃん・子ども用の
サプリメントも豊富

おおらかなのに繊細!?現地在住のママに聞く「アメリカ子育て事情」

ドラッグストアのベビーフードコーナーには、棚一段にずらっとベビー・キッズ向けのサプリメントが並んでいます。日本の子ども向けサプリメントとは種類も桁違いです。それだけサプリメントを使うのが一般的で、生活にもなじんでいるからです。

アメリカでは「赤ちゃんに不足しがちなビタミンDや鉄を、液体サプリメントで補うように」とドクターから言われるのですが、アメリカで生活している日本人のお母さんの中には「赤ちゃんにサプリメント!?」と、初めは抵抗感を持つ人も多いです。アメリカのドクターはメリットがあると分かっているサプリメントは薦めますし、お母さんも診察帰りのその足でドラッグストアに立ち寄り、薦められたサプリメントを買っています。

日本人はどちらかといえば、メリットよりも先にデメリットのほうに目が行きがちだと思うんです。サプリメントに関してもメリットを判断材料にするよりも、デメリットの方を意識してしまいがちといったらいいでしょうか。サプリメントのメリットは食事ではとりづらい栄養素が手軽にとれることですが、その効率の良さにも目を向けるのが「The 合理主義」のアメリカらしいですね。

ジーンズのポケットに
哺乳瓶を差し込みながら…

おおらかなのに繊細!?現地在住のママに聞く「アメリカ子育て事情」

市販されている粉ミルクの種類は、日本よりもかなり多いです。まず、粉ミルクのほかに「液体ミルク」「水で薄める濃縮ミルク」の3種類が存在します。

ほかにも、オーガニックにこだわるナチュラル志向の家庭の赤ちゃん向けにオーガニックのミルクがあったり、必須脂肪酸のDHA&EPAとか、骨にとって大切なビタミンDとか、栄養を強化したものがあったり、そしてミルクアレルギーの赤ちゃんのためのソイベース(豆乳由来)のものがあったりと、とにかく種類が多いんです。選択肢が多く家庭の主義や赤ちゃんの様子を見て選ぶことができるのが、アメリカらしいところだと思います。

また、粉ミルクは熱湯ではなく常温の水で溶かせます。お湯を持ち歩かなくてすみますし、粉ミルクの分包だけ持って外出して、ミルクが必要になったら外出先で水を買うか、カフェなどで水をもらって、その場で作って飲ませられるから楽ですよ。液体ミルクもとても便利で、両親の授乳の負担軽減になります。

印象的だったのが、アメリカのお父さんが哺乳瓶をジーンズのポケットにぐっと差して持ち歩いてるんです。それで、子どもが泣いたら、ケータイをとるようにサッと哺乳瓶を取り出して飲ませていました。

私は、雑菌が付かないかと心配で、当初、必ずキャップを付けて持ち歩いていたので、キャップなしでポケットに入れているお父さんのスタイルに、ほっと心の緊張が解けたのを覚えています。

赤ちゃんに必ず声を掛けてくれるから
こもりがちな産後も、外出が楽しく

おおらかなのに繊細!?現地在住のママに聞く「アメリカ子育て事情」

アメリカは生まれたばかりの小さな赤ちゃんの存在も、大人と同じように一人の「個人」として扱い、社会全体で受け入れる自然な空気を感じます。赤ちゃんと散歩をしていると、見ず知らずの人からも「What’s your name?」と必ず赤ちゃんの名前を聞かれますし、「Your Baby is Beautiful!」と声を掛けてもらったりして、癒やされました。私の場合、異国にいたからなおさらそれが心に染みましたね。

産後は家にこもりがちになりますが、誰かが必ず赤ちゃんに声を掛けてくれるのがうれしくて、外出するようになりました。

ベビーカーが乗れるスペースを
バスの乗客が開けて待っていてくれたことも

おおらかなのに繊細!?現地在住のママに聞く「アメリカ子育て事情」

ベビーカーの扱いも、日本とかなり違います。譲り合いの雰囲気が当たり前の光景で、ベビーカーだからと肩身の狭い思いをすることはありません。次のバス停にベビーカー連れがいると気付いたら、乗客のみなさんが優先席を空け、スペースを作ってくれていることもあり、そのときはとても感激しました。

もちろん、混雑がひどいときはベビーカーをたたんだり、バスを一台見送ったりすることもありましたが、アメリカのバスはサイズが大きいので、ベビーカーも3台くらいはそのまま乗れるから、「乗ったらイヤな顔されないかな」とビクビクすることもなく、気が楽でした。

おおらかなのに繊細!?現地在住のママに聞く「アメリカ子育て事情」

そういう譲り合いの精神はベビーカーだけではなく、車いす生活を送る人にも向けられます。赤ちゃんや子ども連れの人に対してだけではなく、手助けが必要な人にサポートするシーンが日常的です。たとえ息子が泣いていてもイヤな顔どころか、隣のおじいさんが「どうしたんだい?」とあやしてくれたりして、ほっこりとあたたかい気持ちになれることが多かったです。

子育ては「親だけ」ではなく
「社会みんな」で

おおらかなのに繊細!?現地在住のママに聞く「アメリカ子育て事情」

自分が母親なんだからこれくらい頑張らなくちゃ! と思いがちでしたが、アメリカでの生活を通して、周りのサポートを受けながらそうした方々と共に、我が子と向き合えることもとても素敵なことだと知りました。

子供たちを社会みんなで温かく包み込む、そんな雰囲気が日本でも、もっともっと広がれば良いなと感じています。

インタビューイープロフィール

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Haruka Han

管理栄養士。2017年8月よりアメリカ合衆国 ボストン在住。2018年3月に出産し、現在はアメリカで育児中。

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