赤ちゃんに必要なビタミンD!それってどんな働きがあるの?

2018.11.09

人のカラダに必要な栄養素には、いろいろなものがあります。その中でも、よく知られているのが「ビタミン」です。ビタミンCやビタミンBは、風邪の予防や肌荒れ対策などでよく耳にしますよね。

今日のお話は「ビタミンD」です。あまり聞き慣れない存在かもしれませんが、身体にとって重要なビタミンのひとつ。特に妊婦さんや赤ちゃんは健康な生活を送るために必要不可欠な必要量をきちんと摂取したい大切なものです。その力を慶應義塾大学SFC研究所 上席所員の本田由佳先生にうかがいました。

ビタミンDって、どんな働きをするの?

そもそもビタミンには「水溶性(すいようせい)」と「脂溶性(しようせい)」があります。ビタミンCやビタミンBは水溶性で、水溶性ビタミンは熱に弱く、過剰摂取した際、尿で排出されるのが特徴です。今回のテーマであるビタミンDは脂溶性ビタミンで、キノコや魚介類などの食物に多く含まれています。さらに、日光を浴びると皮膚で生成されるので“太陽のビタミン”とも言われています。このビタミンDには、骨の健康を保つ作用のほかに、免疫力を高めるほか、高血圧、結核、癌、歯周病、多発性硬化症、冬季うつ病、抹消動脈疾患、自己免疫疾患などの疾病との関連の可能性も報告されています。

「私たちの研究では、AMH(アンチミューラリアンホルモン)、通称『卵巣年齢』などと呼ばれる数値(卵巣の卵子の数の目安。数値が高いほど卵巣年齢が若いとされている)が、30代以上で血中ビタミンD濃度が充足(20μg/mg以上)している人の方が、卵巣年齢が若い結果となりました。※2また、健康的な女性の血中ビタミンD濃度の欠乏(20μg/mg未満)が2割であるのに対して、不妊治療をしている女性では9割が欠乏しており、不妊治療をしている女性でビタミンD欠乏症が多いことも明らかとなりました。

最近では精神疾患にもビタミンDが関係しているのではという研究も進んでおり、ビタミンDへの注目度はますます高まってきています」(本田先生)

体内のビタミンD不足は、小腸や肝臓でのカルシウム吸収量の低下や骨粗しょう症を引き起こす他、子どもでは、くる病や発育不足のリスクが高まることにもつながるそう。また、胎児の骨量が増加する妊娠後期が太陽紫外光の弱い冬季であった4~5月生まれの赤ちゃんには、特に、くる病の初期症状の1つである、頭蓋ろうの頻度が高いという結果も明らかになっています。

このことからも、妊娠中や妊娠前からビタミンD不足にならない生活を心がけることが必要だそうです。骨に妊娠、そして胎児の健康にも関わるビタミンD。幅広く私たちの健康に大切であることがわかりますね。

ビタミンDってどうやって摂ればいいの?

現代の日本人は慢性的に幅広い年代でビタミンD不足であるとの報告があります。それではビタミンDを十分に摂取するには、どのようにすれば良いのでしょうか。

「厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2015年版)」では、成人が食事から摂取する1日のビタミンDの摂取目安量として、最低5.5μg、上限50μgを推奨しています。一方、医学の分野では10~20μg/日という考え方もありますから、まずは10μg以上を目標に摂っていきましょう」

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「もし食事から 4.5μg のビタミンDを摂取しているのだとすれば、日光照射で5.5μg のビタミンDを皮膚で生成し補う必要があります。5.5 μgのビタミンDを生成するのに必要な地域別・時間別の日光浴時間は、以下のグラフを参考にしてください」(本田先生)

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▲5.5 μgのビタミンDを生成するのに必要な各地・各時刻での日光照射時間(資料提供:本田由佳先生)

季節や緯度によって日光浴の時間が異なるのは、紫外線量が異なるためです。日焼けが気になる人は、国立環境研究所/地球環境研究センターが提供するビタミンD生成・紅斑紫外線量情報のスマホ用簡易サイトで肌の露出度別・地域/時間別の日光浴時間を確認しましょう。

【ビタミンD生成・紅斑紫外線量情報のスマホ用簡易サイト】
http://db.cger.nies.go.jp/dataset/uv_vitaminD/ja/mobile/index.html

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ここにアクセスすると、今日の「この時間」「この地域」の天気で、適切な量のビタミンDを体内で生成するためにお勧めする日光浴時間を確認することができます。長時間浴びる必要もなければ、全身で浴びる必要もありません。日焼け止めを塗るときに、手のひらだけは塗らないように心がけてみてください。

Black table with ingredients of food rich in vitamin D and omega 3, with copy space.

「食べ物から摂る場合は、きのこや卵、魚、特に鮭がオススメです。それでも心配な人は、サプリメントで摂取するといいでしょう。ビタミンDが欠乏している人でも、2~3カ月間サプリメントで補うことで、十分な数値になります」(本田先生)

ビタミンDは、骨の異常や胎児の発育など、今すぐピンとくる話ではないことも多いですが、カラダの基本を作ってくれる大事なビタミンであることは間違いありません。まずは食事や日光浴を意識するところから始めてみてください。最後に本田先生は、こんな話をしてくださいました。

「『体』という字は、旧字体では『體』と書きます。つまり、骨を豊かにすることがカラダの基本なのです。そう考えると、ビタミンDはとても大切な要素。ビタミンDはもちろん、カルシウムも積極的に摂取するなど、豊かな骨を作ることをもっと意識してほしいと思います」

文:ココバナ編集部

この記事を監修してくれた方

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本田由佳

健康科学者/博士(医学)
慶應義塾大学SFC研究所 健康情報プラットフォーム・ラボ 上席所員/総合政策学部講師(非常勤)。横浜生まれ。一児の母。ワーキングマザー歴20年。元東京大学大学院医学系研究科母性看護学・助産学分野客員研究員。自ら経験した極端なダイエット、妊娠・出産・子育てがきっかけで女性健康科学者となった。2012年7月まで株式会社タニタ開発部研究員として、女性や子ども、プロサッカーチーム選手の身体組成の研究、睡眠計の開発等を行った。現在はICTを用いた健康情報管理システムの研究をしている。夢は「女性と子どもの健康力をあげて日本を元気にすること」。著書に『ママと赤ちゃんにやさしい 産前・産後のボディケアとビューティーメソッド』(あさ出版)、『価値創造の健康情報プラットフォーム:医療データの活用と未来』(慶應義塾大学出版会)がある。現在は、日本第一号 健康科学者として、女性の健康全般に関する研究を大学で実施している。
▼Official Blog
https://ameblo.jp/yukahonda1119
▼慶應義塾大学SFC研究所 健康情報プラットフォーム・ラボ
https://www.kri.sfc.keio.ac.jp/ja/lab/hip.html
【参考文献・資料】
・Rich-Edwards JW1, Spiegelman D, Garland M, Hertzmark E, Hunter DJ, Colditz GA, Willett WC, Wand H, Manson JE. Physical activity, body mass index, and ovulatory disorder infertility. Epidemiology. 13(2):184-90, 2002
・厚生労働省,平成28年「国民健康・栄養調査」
・厚生労働省,平成15~18年「国民健康・栄養調査」
・厚生労働省,平成20年「国民健康・栄養調査」
・総務省,平成12年,平成14年~20年「労働力調査年報」
・厚生労働省,平成29年「国民健康・栄養調査」
・厚生労働省,平成29年「人口動態調査」

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