《医師監修》妊娠から出産までの流れを解説!体の中で起きている変化の話

2018.08.30

妊娠してから出産を迎えるまで、ママである女性のカラダにはさまざまな変化が起きています。「お腹がだんだん大きくなる」「つわりが起きる」などの、わかりやすい変化もあれば、自覚症状のないものもあります。

今回はそんな生命誕生の過程について、「ポートサイド女性総合クリニック〜ビバリータ〜」院長の清水なほみ先生に解説いただきました。
赤ちゃんは、お母さんのお腹の中でどんな成長を遂げているのか、妊娠週数ごとの過ごし方も合わせて紹介します。

妊娠超初期(0週〜3週):実はこれって『妊娠』とは言わない?!

妊娠0週〜3週にあたる「妊娠超初期」。妊活をしていると、タイミングをあわせ、結果がわかる最短で確認をしたがる方も多いものです。また、たまたま体調の変化に気づき、妊娠検査薬を使う人もいるでしょう。こういった妊娠超初期というのは、医療の側面からはどのように考えているのでしょう。

「そもそも、“妊娠超初期”という定義自体が間違っています」と清水先生は指摘します。いわゆる超初期というのは民間用語で、医学的には妊娠3週までは妊娠とは呼ばないのだとか。

「一般的に妊娠0週と言われる時期は月経期、つまり、妊娠がまだ成立していない時期を指します。妊娠1週は排卵前、妊娠2週は排卵期、妊娠3週は受精卵が子宮内膜に着床する時期です。これらの時期に『妊娠』という言葉は使いません。一方で、人によっては通常の排卵痛や月経前症状のほか、むくみや胸の張りなどの症状が出ることがあります。ただ、この症状が月経前症候群なのか妊娠の兆候なのかを判別することは難しいです」

一般的に妊娠超初期とされる時期は、今まさに精子と卵子が出会い、細胞分裂を始めたくらいということです。それでもカラダの変化が現れることがあるって、人のカラダって不思議ですね。また、この時期に気をつけることについてもうかがいました。

「基本的に妊娠を希望している時点で断酒や禁煙をした方が望ましいですが、気づかずに継続していた場合は妊娠反応が出た段階でやめれば大丈夫です。薬やレントゲン検査などに関しても同様です。常用している薬があってそろそろ妊娠を考えたいという場合は、薬を継続してよいのかを主治医に相談しておくとよいでしょう」

妊娠初期:「エコーでは何も見えないのが当たり前」

妊娠初期(4週〜15週)は、つわりが起きたりエコーで我が子と対面できたりと、母親になることを実感できる時期かもしれません。

「妊娠4週まではエコーでは何も見ることはできませんが、子宮内膜に受精卵が着床して赤ちゃんの体づくりが始まっています。5週になると胎嚢(たいのう)が、6週になって初めて赤ちゃんが『点』で見えて心拍が確認できます。7週になると赤ちゃん全体の大きさが1㎝を超えてきて、8週くらいになると動きも見えてきます」

むくむくと“命“に変化するこの時期は、一方で流産も多い時期でもあります。どのような点に注意して過ごしたらよいのでしょう。

「流産は心拍確認前(6週まで)が最も多く、その次が妊娠10週までです。前兆がないことも多いですが、中には少量の出血や腹痛が出ることもあります。カラダの異変に気づいたら、すぐに主治医に相談しましょう」

流産の約80%は、妊娠12週未満に発生します。このタイミングでの流産は、原因のほとんどが赤ちゃんの染色体異常といわれています。つまり母親の生活や注意で防げるものではないそうです。

妊娠初期は、つわりや眠気、だるさなどの体調の変化に悩まされる時期でもあります。食事や生活習慣などはどのようにしていけばよいのでしょう。

「運動は極端に激しいものや転倒のリスクがあるもの、寒い場所や暑い場所でおこなうものは避けた方がいいでしょう。体調に合わせて気分転換になる程度の運動にとどめておく方がベターです」
具体的には、ヨガやストレッチ、ウォーキングなどの軽い運動をご自身の体調をみながらおこなうとよいそうです。
「また、つわりの時期はまだ赤ちゃんの大きさも非常に小さく、例え十分な食事がとれなくてもお母さんのたくわえだけでも育つことができます」

食べられないことを気にする必要はないそうですが、食事からとれない栄養をサプリメントで補う等、初期の段階から栄養のバランスを意識しておくことが、大切ということです。

妊娠中期:「胎教はお母さんの感情も大切」

16〜27週になるとお腹が大きくなり始め、胎動を感じる方も増えてきます。赤ちゃんのカタチや性別がわかってくるのも、この頃です。胎教を始める方も多いようですが、なぜ妊娠中期からおこなうのが有効なのでしょうか。

「この時期から赤ちゃんの聴覚が発達してくるので、話しかけたり絵本を読み聞かせたりすると赤ちゃんが反応するからだと考えられます。ただ、『胎教』といっても、赤ちゃんの教育のためというよりは、お母さん自身がリラックスして穏やかに過ごすことの方が大切です」

胎教を意識しすぎるあまり、イライラしてしまっては逆効果です。無理のない範囲でおこないましょう。

妊娠中期になると、頭を抱える人も多いのが、自身の体重管理です。増えすぎは良くないですし、逆に体型を気にして節制しすぎるのも問題です。

「妊娠前の体型によって、許容範囲は異なります。妊娠前がやせの場合は、妊娠期間全体で10~12㎏、普通なら8~9㎏、肥満なら5~6㎏が目安です」

ここでいう“やせ”とは、BMI(BMI=体重÷身長(m)÷身長(m))が18以下の状態を指します。普通とはBMIが18.5~25.0未満、肥満はBMI25以上です。

「週2回は体重計に乗り、1週間に500g以上増やさないよう心がけることが大切です。また体重を気にしすぎるあまり必要な栄養素が不足しないよう、ビタミン、ミネラル、たんぱく質はしっかり摂りましょう」

ご自身の体型を把握し、適切な体重管理を心がけましょう。

妊娠後期:「旅行はいつだってNGです」

28〜40週になると、お腹もだいぶ大きくなり、腰痛や圧迫による胃の不快感に悩まされる方も出てきます。出産を控え、夫婦2人きりの旅行を楽しみたいという方もいるかもしれません。でもそれ、実はちょっと心配かも…。

「妊娠中の旅行は、基本的には時期を問わずNGです! 止むを得ない事情の場合は、お腹があまり大きくなっておらず、お腹の張りも起こりにくい16週~27週の期間のほうがよいでしょう。ただし、電車や車で1~2時間の距離を目安にしてください。旅行先で何かあったときのために、保険証と母子手帳を必ず持参しましょう」

少しでも体に異変を感じたら、すぐに主治医に相談することが大切です。入院の準備をしておくことも、出産前の備えの一つです。

「28週を過ぎたら、入院セットを鞄に入れて玄関に常備しておきましょう。破水や陣痛がいつ起きてもいいように、バースプラン(お産に関する計画や希望を書くもの)や、上の子がいる場合はその預け先について話し合っておくとよいですよ」

バースプランには、立会いの有無や分娩時にかけるBGM、カンガルーケアを希望するかなどを書く方が多いです。しかし、中には「(お産のとき)褒めてくれると頑張れる」と書いて、出産を盛大に応援してもらい乗り切ったママもいるそうです。

胎児の成長にも差や個性があるように、妊娠もお産も十人十色です。マニュアルどおりの変化を遂げる場合もあれば、通常とはちょっと違うこともあるもの。
カラダの変化を気にしながら、赤ちゃんとの時間を楽しみたいですね。

この記事に取材協力してくれた方

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医師 清水なほみ

ポートサイド女性総合クリニック ビバリータ 院長
http://www.vivalita.com/index.html
平成13年広島大学医学部医学科を卒業
広島大学附属病院産婦人科・中国がんセンター産婦人科・ウィミンズウェルネス銀座クリニック・虎の門病院産婦人科に勤務。
平成22年9月に「ポートサイド女性総合クリニック~ビバリータ~」を開設。
「言葉だけで病気を卒業させる心理技術」を駆使して、患者本人が自分の力で「自分らしい輝きを取り戻す」サポートをしている。
【参考】
MaMari
「妊娠超初期・妊娠初期(0〜4ヵ月)」
https://mamari.jp/pregnancy/369
日本産婦人科学会 流産とは
http://www.jsog.or.jp/public/knowledge/ryuzan.html

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